facebookにて、2018/04/09にIOHKのチャールズ・ホーキンソンのブログ記事には、カルダノの進展関する最新情報が掲載されています。
こちらからご覧ください

全文を転載します。
図解やリンクに関しては、上記のブログをご参照ください。





プロジェクトマネジメントチームの主導で各プロセスが進行中

毎年恒例の世界各国での短期滞在から戻ってきて、カルダノのコミュニティの皆さんにプロジェクトの進捗報告をしたいと考えました。
今年は年初から数多くのことが起こりました。
カルダノは速いペースで成長し、同プロジェクトも新たなステージへと進化を続けています。
2017年9月にリリースされたByronは IOHK (Input Output Hong Kong) の試験的な試みでした。
これが当社が手がけた初めての仮想通貨です。
一般リリースのサイクルを管理したり、異なるステークホルダー毎 (一般対象、取引所、開発者など) に管理したりする必要があります。
さらに、カルダノプロジェクトはソフトウェア会社6社の協力の下で行われていますので、円滑なコーディネートやコミュニケーションに膨大な時間と、時差によるコストがかかります。

9月のリリース以来、こうしたすべてのプロセスに関して、また、幅広いコミュニティの必要性に対応することに関して実に多くの事を学んできました。
すべてを会得したと言えるほど完璧な状態ではありませんが、各プロセスとも確実に改善しています。

こうした改善点が一般の人々には殆ど知られていないにもかかわらず、長期的なロードマップを描く私達の能力に大きな影響を及ぼすことから、改善点のいくつかを共有したいと思います。
まず、9月以降、IOHKは膨大な規模のプロジェクト管理能力を構築しましたが、これを主導したのは アイリーン・フィッツジェラルドです。

担当部門において、アイリーンはビジネスの必要性の把握、プロジェクトチャーターの考案、リソース配置の改善、予算策定のプロセス、事業見積りの改善、ウィークリーレポートの改善を取り仕切るとともに、プロジェクト間の相互依存の課題を管理してきました。
また、 K-framework、IELE、スマートコントラクト調査のための Runtime Verification とのパートナーシップ を中心として、ますます簡便になるタイムマネジメントのためのサードパーティ関係も築いてきました。

こうしたプロセスの成果はカルダノの定期リリースサイクルに載せるよう移行中ですが、来週金曜日には第1回目のサイクルをスタートします。
リリースに向けた開発ブランチを実行し、その後、今のところ1ヶ月を予定している厳格なQAサイクルを通してリリースを実行する予定です。
今後は、オートメーション化や並行プロセスによる迅速なデリバリーによって、このサイクルを短縮することができます。
アップデートが頻繁に行われ、品質が向上することによってユーザーへの障害が緩和されます。

プロジェクト管理部門の目標は、日付や品質に関わるデリバリについて、機能やリリースや主要なアップデートをデリバリできる日付を確実にすることです。
これはソフトウェア会社にとって最も達成が困難な目標の一つであり、私達が構築するソフトウェアの性質からするとさらに困難なことではありますが、当社のサービスによって利益を追求するユーザーには極めて重要なことでもあります。

今後、当社のプロジェクト管理手法は公共性が高まり、最終的にはパブリックのGitHubレポジトリに移植されるでしょう。
当社のスペース内で他のソフトウェア会社やプロジェクトが自社のプロジェクトのために利用できたり追加できたりするよう、IOHKがクリエイティブ・コモンズのプロセスに従うことを期待しています。
DApp開発では、より軽いバージョンのプロセスを届け、開発者コミュニティがベストプラクティスを実行できるよう努めます。

二つ目として、Ledgerのような取引所や他社との事業展開の経験から、カルダノのアーキテクチャ、API、その他のコンポーネントを体系的に再設計し、当社のソフトウェアをより快適に希望者に使用してもらえるようにしました。
たとえば、当社の新しいAPIをここに記載します。

もう一つの成果は、仕様に基づくプロセスへと当社の開発を移行させていることです。
このプロセスへ移植される Cardano Settlement Layer の最初のコンポーネントはウォレットバックエンドで、形式仕様は以下の通りです

図解略

カルダノの各部分が上記のような形式で指定されることを目的としています。
こうした仕様は実装に依存せず、最終的には正式な方法で分析され、テストスイートや改善提案の基礎として使用できます。

多くの人々が自分のモバイルクライアントを構築するか、修正ソフトウェアを希望していることは理解しています。
そのため、統合型のバックエンドアーキテクチャを検討する最良の方法を模索しているところです。
個人的には、数十のウォレットを提供して優れたユーザーエクスペリエンスをカルダノで実現したいと考えますが、同時に、こうしたエクスペリエンスを役に立ち、安全で、実行しやすいものにしなければなりません。

今後数ヵ月間で、カルダノのコードを規模の大きなチャンクとして、この仕様に基づくデザインに移植するか、入れ替えを行います。
ユーザーはこれに直接気づくことはないでしょう。
むしろ、ユーザーは間接的に現象として経験します。
たとえば、シードからのウォレットのリカバリー等の処理速度が速くなった、ネットワーク接続の問題が減った、メモリー使用やディスクのフットプリント減少などの改善がみられるようになります。

人材、プロセス、 明確なロードマップが確保できた現在、Byronは今後も迅速に改善をすすめ、充実した機能を加えていくでしょう。
来週私達がQAに出すリリースには、ペーパーウォレット、大幅に速度を上げたウォレットの復元、その他の様々な修正が含まれています。
これで、5月中旬にはQAを解消し、その後は月に1度のペースでユーザーにアップデートを提供する予定です。

三つ目に、最も楽しみな 次のリリースはShelleyです。Shelley は多くのワークストリームを持ち技術な依存度も高い大規模なプロジェクトです。
また、コミュニティーとの調整や管理も関与する数多くのソーシャルプロセスを含んでいます。
実際、Shelley はユーザーにネットワークを完全に引渡し、できる限りの分散化を図ろうとしています。

Byron との仕事で、Shelley に向けてどんな反復作業が最善かオペレーション上の沢山の知識を得ることができました。
しかし、コンセンサスには特別の配慮が必要です。
IOHK はカスタムメイドのプルーフオブステーク (PoS) プロトコルである、Ouroboros for Cardanoを開発しました。
これは過去に仮想通貨で使用されたことはなく、完全にオリジナルの設計です。

そのため、Ouroborosを一般向けに展開するにあたって非常に大きな注意を払ってきました。
Byron は、IOHK、カルダノ財団、Emurgo の管理の下でコアノードにロックされたデリゲーションを使って Ouroborosのバージョンを実行しており、ブロックリワードはオフになっていますが、Shelleyが登場すると継続できません。
ステーキングの権限はAda保有者に戻され、デリゲーションは完全に保有者の管理下に置かれるでしょう。

明確にするため言うと、Ouroborosは、EOSやBitsharesのような必須の、デリゲートされた、プルーフオブステークプロトコルです。
つまりこれは純粋なプルーフオブステークプロトコルであり、エポックの選挙においては全ての有効なAdaアカウントがその対象に組み込まれます。
世界中のUTXOの通常のアドレス内にAdaを所有する人は誰でも、所有Ada数量にかかわらずスロットリーダーに選出される可能性があります。

しかし、実際には、コンセンサスノードをホストし、選出されたスロットを一貫して果たすことを望んでいないか能力を持っていないことがほとんどです。
このため、私達はこうしたユーザー向けのデリゲーションシステムやステークプールの概念を開発しました。

つまり、誰でもステークプールを実行できる仕組みです。
Adaの最低保有レベルや特別なクラブは設定していません。
むしろ、チェーン上にステークプールを登録するため、ブロックチェーンベースの登録システムや特別な取引タイプを設けます。
登録済のプールは Daedalusのデリゲーションセンターに掲載され、カルダノブロックチェーンからプルされディレクトされることで検閲やバイアスを防止します。

過去数か月間、このデリゲーションプロセスの設計とセキュリティ対策に膨大な時間や注力を必要としてきました。
コールドステーキングからリワード自動化まで、数十の要素やシナリオを検討する必要があります。
結局、Shelleyのリリース向けの妥当なデザインに落ち着き、論文は間もなく eprintで公開される予定です。

まとめると、Ada所有者は持っているAdaに対してデリゲーション証明を作成することができ、それをカルダノブロックチェーン上に登録できます。

このプロセスは事実上、ステーク権限をそのAdaアドレスのスペンディングキーから分離します。
このため、デリゲーション証明書はDaedalusで生きつつも、スペンディングキーはたとえばペーパーウォレットや帳簿デバイス上でオフラインで保管できるのです。

デリゲーションは特別なトランザクションで実行されますが、ユーザーエクスペリエンスの観点から、Daedalusのデリゲーションセンター経由で行われます。
ユーザーは希望するデリゲーション先のステークプールを見つけ、選択し、「デリゲート」ボタンをクリックするだけです。
とてもシンプルな操作です。
Shelleyのテストネット開始にあたって、デリゲートの長さから部分的デリゲーションまで様々なユーザーエクスペリエンスフローを実証する予定です(プール間でステークを分割する)。

このプロセスにはもう一つの有利な点があります。
ビットコインマイニングプールとは違って当社のプロトコルはデリゲーションをネイティブに理解するため、プールオペレーターを信頼する必要なくリワードをデリゲート先に自動で支払うことができます。
各エポックの終わりに、特別なトランザクションによってリワードプールを閉鎖し、デリゲーション額に比例してデリゲート先全てに支払うことを目標としています。

今後の数ヶ月間で、スペースの最適化と少額フラッド攻撃防止のためにいくつかのベンチマークや閾値設定をしなければなりません。
また、通知やその他のユーザーインターフェース検討を含めた様々なユーザーエクスペリエンスを探る必要があります。

ここで疑問がわいてくるのは当然です。
Shelleyを開始する時点で適切な分散化を図れるだけの十分なステークプールをどうやって確保するのでしょうか?
こうしたプールはどのようにしてブランドや評判を確立するのでしょうか?
こうした懸念を踏まえ、ベータテストを行うステークプールオペレーターを一般から採用することにしました。

ここでの目標は、事業としてステークプールの運営を希望していて地理的に広く分散して存在する50~100者の独立オペレーターを見つけることです。これは次のように進めていきます


1.4月末までに、 https://staking.cardano.org/jp/ において、できる限り多くの採用申請者を募ります。
2.申請書を処理、選別して、50~100の候補者に絞り込みます。
3.候補者を IOHKスラックに招待して、ハードウェア構成、展開戦略、Dockerイメージ等についての協議を始めます。
4.Shelleyのテストネットが開始したら、ステークプールを招待し登録して、彼らと緊密に協力しながら様々なシナリオやエクスペリエンスをベータテストします。


これらのベータテスターは、Shelley開始時に特別なアドバンテージや対価を得ることはありません。
彼らはShelleyの設計をテストし、私達の予測や選択の妥当性を確認し、展開戦略や文書化の改善を行う必要があります。
Shelleyを開始するにあたっては猶予期間を設定します。
その期間内は、ステークプール登録の希望者は全員登録することができ、Ada所有者はデリゲート先を自由に選択できます。

猶予期間が終了すれば、オートデリゲーションがオフになり、リワードがオンに設定されます。
カルダノは完全に分散化されます。

最後になりましたが、カルダノは巨大なプロジェクトです。
数多くの素晴らしいアイデアや優秀なエンジニアが結集し、単独ではすべてを把握することが困難な課題に対して並行して取り組み、その進歩を伝えるだけでも大変です。
素晴らしいのは、私達のプロセスが非常によくできており、毎日前に進んでいることです (あるファンが日々の取組みを紹介するウェブサイトを作ってくれました:https://cardanoupdates.com/).

また、科学的リサーチでは、研究からコードへの移行スピードが速いことにも大変驚いています。Ouroborosは12回の修正を経て、現在ではチェックポイントなしで genesis ブロックからブートストラップ可能な状態になっています (プルーフオブステークでは業界初)。
当社の行うサイドチェーン研究は最先端を行くもので、その論文は5月に発表される予定です。

また、ゲーム理論家やプログラム言語理論の専門家も集めました。
発表資料は、Marloweのような新しい会計言語、ステークプールのインセンティブへのますます充実した理論、ネットワークのメンテナンス、仮想通貨の適正運営のためにオネスト・マジョリティを要求するその他のトピックなどが盛り込まれ、非常に革新的な内容となっています。


図解略


私達がどれだけ体系的に思考できているか、そしてカルダノプロジェクトに関わる人々の質の高さに非常に驚いています。
このチームを作り上げ、夢の段階から定期的なステータスレポートにまでこぎつけるには数年かかりました。
私達がマイルストーンを達成していくこと、そしてカルダノが世界を変えることを楽しみにしております。